崩壊エネルギーQβとは、親核と娘核の質量差に相当する。娘核の質量がわかっていれば、Qβ測定によって親核の質量が間接的に決められる原子質量測定法の1つである。
全立体角型検出器では放射線源を全立体角覆うため、放出するβ線と引き続いて放出するγ線のエネルギー和を高効率で測定することができるので、極微量の原子核の測定に有効である。
今まで、大体積BGO対向型検出器、貫通孔型全立体角Ge検出器、貫通孔型全立体角クローバー検出器の3台開発し、質量数150~170の希土類領域の核分裂収率のきわめて低い不安定核を測定した。
原子質量は、様々な理論モデル(質量公式)が提案されているが、実験値のあるところはそれに合わせるように理論研究が進む一方、実験値のない場合は予測値がモデル毎に大きく異なる。より不安定な領域の予測精度を上げるには、
実験値が重要な役割を持つ。更に、本手法では、崩壊放射線を時間で追えば、半減期も決定できる。半減期の理論予想にはQβが最も重要であるので、
Qβと半減期を同時に決定できるというメリットを持っている。
3台のQβ決定用全吸収型検出器
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