研究内容

崩壊核分光研究:β安定線から離れた不安定核の壊変特性、核構造の解明、崩壊核データ研究


Ge検出器によるγ線測定法(コインシデンスサムの補正、体積線源の測定法)

 高立体角測定でのコインシデンスサムの補正

微量の原子核を統計精度良く測定するには、高立体角で測定することであるが、その反面、コインシデンスサム効果が大きくなるため、γ線放出率を決定するには適切に補正する必要がある。 そのためには崩壊図式がわかっていることが前提となる。しかしながら、β安定線から離れた不安定核の場合は、崩壊図式も決まっていない場合が多い。密着した線源-検出器間の距離で 同時計数によって同定されたγ線のカスケード関係から準位図式を決定し、得られたγ線のカウントを初期値として、決定した準位図式に基づいてコインシデンスサムを補正する。 あらかじめピーク効率と全効率を決定した検出器で、いくつかの線源-検出器間距離(立体角)で、複数のγ線を放出する標準線源133Ba、134Cs、152、154Eu、56Coを 測定して、その補正の精度を検証した。得られたピークカウントを初期値に、準位図式に基づくモンテカルロ計算を行いカウントを補正し、γ線放出率(カウント/検出効率)が収束するまで繰り返す。 X線領域から3MeV程度まで、立体角が20%程度であっても、5%の精度で補正できることを示した。

    各立体角でのコインシデンスサムの補正


 体積線源の放射能強度の簡易的な解析法

環境試料の体積線源(主としてU8容器)は、線源の高さ、密度等に応じたコインシデンスサムの補正が必要である。補正には汎用的な市販ソフトもあるが高価である。 そこで、134Csと137Csを含む場合に限定して、137Csの標準線源とモンテカルロ計算(GEANT4など)を使って環境試料の放射能強度の決定に十分な精度で補正できないかを検討中。

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