原子核の励起準位の寿命は状態間の量子状態を反映するので、核構造を調べる上で重要である。β-γ遅延同時計数測定によって原子核の励起準位の寿命を決定する。
LaBr3(Ce)検出器は数百keVのγ線のサブナノ秒の寿命測定に有効で多く用いられているが、分解能がGe検出器より劣るため100keVより低い低エネルギーγ線にはほとんど適用されていない。
125I(T1/2=59.4d)、131I(T1/2=8.0d)の娘核125Te、131Xeはともに低エネルギーの励起準位をもち、
過去にはプラスチックシンチレーターを用いて精度良く寿命が測定されているが、
報告値間にずれがある。長い半減期をもつ核種をアイソトープ総合センターにおいて、LaBr3(Ce)検出器にX線コンバーター法を適用してX線領域の即時曲線を実験的に測定し、
ナノ秒からサブナノ秒の寿命を測定した。125IはEC壊変核種であるので、プラスチックシンチレーターとX-γ遅延同時計数を、131Iはγ線が多くLaBr3(Ce)検出器では
区別できないので、Ge検出器を組み合わせてβ-γ-γ3重遅延同時計数を適用した。数十keVのγ線に対しても、スロープ法あるいは重心法(セントロイドシフト法)によって寿命が決定できることを明らかにした。
今後は、質量数150近傍の短半減期の核分裂生成物のオンライン測定に適用し、低エネルギー領域の核異性体探索を目指す。
LaBr3(Ce)シンチレータを用いた131Xeの励起準位の寿命測定
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